1、意義

 ・元一和会幹事長・佐々木道雄氏が大相撲の世界から排斥されたのが昭和57年(1982)。

 参考)、ヤクザと相撲 元一和会幹事長・佐々木道雄氏は大相撲とどのようにかかわってきたのか?

  貴闘力さんの入門が昭和58年(1983)。貴闘力さんや懲役猫太郎さんの動画を見ると、佐々木氏排斥以後も力士とヤクザとの付き合いはほとんど変わっていなかったことがわかります。

2、佐々木氏排斥以後の大相撲界

 (1)、貴闘力の証言

  巡業に行ったら地回りのヤクザと喧嘩したとか言って、話付けにいかないといけない。そいつを連れて行ってそのまま話をしに行ったときなんか、「お前オラ」とか言われて、「ウチの大事な若い子をシバキあげてどう思ってんだコラ」とか言われて、「イヤイヤすみません」とか言って、「なんでそういう事したんだ」って言われたら、「お前なんでそんな叩いたんだ」ってオレがそいつに言うじゃないですか。そしたら「そいつがデブ専って言っておちょくったから」って言ったら、その親分が「お前この野郎、デブ専って言ったのか」って言ったら「言ってません」とか言って、言った言ってないで言い合いになって、結局そこで巡業があるのに朝話に行って、たまたま地回りの親分がオレの親父ももともとヤクザだったから、「昔ウチの親父と麻雀をやったことがあるんだよ」って言った瞬間、「ラッキー」と思って、そういうことで「すいません」って謝って、若い衆に2、3発ゲンコツ入れて、「一般の人を殴っちゃダメなんだよ」ってちゃんと2人で謝って「許してもらえ」って許してもらって、「これで手打ちにしてくれ」って手打ちにしてもらって、そしたら「じゃあ今日夜飯でも付き合ってくれるか」って言われたら、付き合いたくないけど付き合わないとしょうがなくなるでしょ。そこでしょうがなくそこの人間とご飯食べに行った。昔の話だから悪い悪くないは別の話として、そこで「小遣い」とか言って20万とか放ってくれるわけじゃない。その親分が。こんなのもらうわけにはいかないと思ったら、若い衆がその辺に7、8人いるじゃない。それに自分も10万円くらい色つけて、「みんな色々悪かったね」とか言いながら3万円とか5万円とかをみんなに渡して帰らせたりする。そういうことが地方巡業に行ったら多々あるわけ。誰々がシバイたとかとか、喧嘩したとか。血の気の多いヤツラばっかりだから。


 (2)、懲役猫太郎の証言

  ・懲役猫太郎も、所属していた組織のトップがある力士の後援会会長をやっており、今から30年ほど前に、地方巡業の力士を飲み屋さんとソープに連れて行く接待をしていた。さらに、佐々木が証言していない、力士の大麻使用についても言及している。


3、日本相撲協会の暴力団等排除宣言

 (1)、意義

  ・平成22年(2010)、日本相撲協会(放駒理事長(元大関魁傑))は以下のような暴力団排除宣言を出した。放駒(元大関魁傑)理事長は「今まで起こったことは起こったものとして、これから絶対にないようにと一応の線を引いた」とコメントを出した。この宣言の内容と佐々木の証言を比較してみると、大相撲とヤクザとの間で「今まで起こったこと」に対応していることがわかる。

 (2)、内容

   だれもが安心して相撲の観戦を楽しむことができ、力士が取組に専念できる相撲競技と土俵を守るために、また相撲の将来を担う後継者を健全に育成するために、私たち親方、力士をはじめとする日本相撲協会関係者は社会的責任を自覚し、暴力団など反社会的勢力の排除に取り組むことを宣言します。

   1. 暴力団など反社会的勢力を、国技館など本場所会場、巡業会場、部屋、後援会、祝勝会などには入れません。
   2. 興行、部屋・宿舎の運営や車・金銭の貸借などのあらゆる取引に反社会的勢力を関与させません。
   3. 反社会的勢力から金品や便宜、もてなしを受けません。 また飲食、ゴルフをともにするなどの交際はいっさいしません。
   4. 野球賭博などの違法行為はしません。次代の力士を育成する部屋の責任を自覚し、地域に開かれ、地域に守られた健全な運営に努めます。
   5. 協会関係者と反社会的勢力の接触を知ったときには、ただちに協会に報告し、その関係を絶ちます。
   6. 以上のことに違反した協会関係者に付いては慎重な調査の上、場合によっては解雇もふくむ厳正な措置をとります。
   7. 国技館をはじめとする競技会場における粗暴行為、ダフ屋行為、物品の無許可販売など、不正行為に対しては、断固たる措置をとります。

   以上のことをファンをはじめとする観客、視聴者、広く国民のみなさまにお約束し、過去の悪習と縁を切り、一日も早く信頼を回復し、相撲界が生まれ変わって伝統と文化のうえに明るい未来を築けるよう全力を挙げてまいります。厳しい叱咤激励をお願いいたします。

   平成22年8月30日公益財団法人日本相撲協会

4、ヤクザから警察OB・弁護士へ

 (1)、意義

  ・現在の日本相撲協会では、中日ドラゴンズに暴力団対策で雇われていたが、暴力団との癒着が激しく、日本シリーズ等のチケットを横流ししていたことから解雇された警察OBが、コンプライアンス部門を担当している。つまり、かつてヤクザが担っていた事を、今は警察OBがやっているのである。宮崎学がよく指摘するヤクザから警察OBや弁護士がコンプライアンス利権を奪った構図がここでも成り立つ。


 (2)、トラブルが起ったら警察、弁護士、ヤクザの誰に相談すればよいのか?

  ・平成22年(2010)の大相撲野球賭博問題に際して、貴闘力は野球賭博について脅された時、警察に相談するか弁護士に相談するか悩んだ末に警察に相談した。しかし、警察から野球賭博の情報が週刊新潮に流れ、これが報道されて大事になり、さらには大相撲八百長問題へと飛び火していった。他方、「お詫びの念書奪還事件」の場合は、佐々木が右翼関係者と掛け合い大事にならずにすんだ。裏社会とのトラブルはヤクザに解決を任せると内々で処理してくれ、大事にならないメリットがある。しかし、現在ヤクザにトラブル解決を依頼するだけで犯罪になる。貴闘力は、今は弁護士に相談するのが一番いいとする。